自ら学ぶ姿を目指して
五泉小学校研究主任
自ら学ぶ姿を目指して
「学力喪失」(今井むつみ著)という本を読みました。このショッキングなタイトルから、皆様は何を想像したでしょうか。本を読み進めると、「学力」について、著者は「ほんとうの意味での『学力』は『自ら学ぶ力』である」と指摘しています。「学力」と聞くと、どうしてもテストの点数や受験の合否をイメージしてしまいますが、昨今求められている「学力」は「自ら学ぶ力であると言われています。幼児の時には、何にでも自ら好奇心をもって調べていた子どもが「勉強」になると自ら学ぶことが難しくなってしまう、「学力喪失」というタイトルには、こうした子どもたちに自ら学ぶ力を取り戻してほしいという思いが込められていると考えます。
昨年度のCRTテストのアンケートなどを見てみると、五泉小学校の子どもたちにも、この「自ら学ぶ力」に課題があると考えられます。五泉小学校では、全ての子どもが本当の意味での「学力」を身に付けられるよう、「共創力を高める児童の育成」を重点目標に掲げ、校内研究や日々の授業改善に取り組んでいます。「共創力」とは、「自他の違いを受け止めつつ、対話を通じて、共に課題を解決し、新たな考えを創り出す力」のことです。「共創力」を高めることで、「学力」を身に付けていきたいと考えています。
さて、6月の中旬に、校内研究の第一歩として、6年1組で算数の授業を行い、五泉小学校の全職員が集まって、子どもの学ぶ姿を参観しました。内容は、分数×分数の計算方法を考える学習です。この計算は、分子同士、分母同士をかけることで答えを導くことができます。計算の手順としてはいたって簡単なので、多くの子どもが、その計算方法にすぐにたどり着きました。しかし、子どもたちの素晴らしいところは、「どうしてその計算ができるのか」「どうしてその手順でよいのか」を、本気になって考え続けていたことです。ある2人の子どもは、2人で話しても解決できず、他の子どものもとへ聞きに行きました。そこでも理解ができないので、また別の友達と話すために移動していました。仲が良いから聞くのではく、本当に心から知りたいから聞く、まさに、自ら学んでいる姿でした。また、別の子どもは、一人でじっくり考え、煮詰まったら友達のもとへ話を聞きに行き、また戻って一人でじっくり考えることを繰り返していました。しばらくすると、その子どもがあるタイミングで「あ!」とつぶやいたのです。本気で悩み、考え、ただ教えてもらうことからは得られない、自分でつかみ取った気付きでした。こうした話合いや学びの姿がクラス全体で行われることで、「共創力」が高まり、「学力」を身に付けていくのだと確信しました。最後に、「先生、算数楽しいです。」と言ってくれた子どもの言葉が表しているように、本来、勉強は楽しいものです。今回の授業のように、教師の力だけではなく、子ども自身が頑張ったことで様々な事に気付くことができるような子どもの学びの姿を引き出すために、我々職員は、日々の授業を磨き上げていきます。
さらに、昨年に引き続き、家庭学習にも力を入れています。今年度も全校で家庭学習カードを活用し、家庭学習の計画・振り返りをすることで、自らの学びを実感・調整できる子どもを育てていこうと考えています。授業で学んだことを確実に定着させるために、家庭学習はとても大切です。昨年度、子どもの自主学習の内容にアイデアを出していただいたり、算数の問題を一緒に考えてくださったりした保護者の方がたくさんいらっしゃいました。本当にありがとうございました。今年度も保護者の皆様から、可能な範囲でお子さんの家庭学習をご覧いただき、サポートしていただけるとありがたいです。家庭学習においても「自ら学ぶ力」が身に付けられるよう、学校から子どもを支えていきます。「共創力」を高めた授業と、家庭学習の両輪で、子どもの「学力」を育てていきます。今後ともご理解、ご協力をよろしくお願いします。